酒を満たした杯は、いつまでも手に持っていればこぼれる。
定本「老子道徳経」の読み方 早島天來編より 人生を最高に生きる老子の言葉 第二十六回
★健康も過信は危険
私たちは、自分の健康についても過信しやすい傾向があります。特に、若いころスポーツで鍛えて病気などしたことのない方は、自分の健康に自信がありますから、無理をしやすいのです。
年を取っても自分はこんなに丈夫だ、と見栄を張っていると、大変なことになります。私たちの体は、これまでの長い人生を、文句も言わずに黙って支えてくれたのですから、年と共に、その体にも目をむけて、手入れをすることが大切ですね。これを中国の医学では養生(ようせい)と言います。病気になるまえに、体を大切に養ってやることです。
★足りないくらいがちょうど良い
食事も腹八分目に医者いらず、というように、健康を保つには、体の元気を使い切ってしまわないことです。ちょっと足りないくらいが、健康で楽しい人生を送るには、大切なポイントとなります。特に若いころから元気でこられた人は、無理をしやすいので、気をつけましょう。
そしてまた、人生は到達した地位や財産が幸せをくれるのではなく、好きな仕事に挑戦し、日々努力をし、仕事をする、その人生の過程そのものが楽しいのです。たとえその目標が大きくても小さくても、いいのです。仕事だけでなく、趣味でもそうです。昔から絵を描きたいと思っていた人なら、楽しんで描けばいいのです。その絵が賞賛されなくても、描くことを楽しめば良いのです。人がどう思うか、また、自分はもう何歳だから、男性だから、女性だから、そんなことはどうでも良いのです。
今目の前の人生を、元気を使い尽さずに、少し余裕を残して、悔いなく楽しく生きること、それが、老子が教えている、人生を楽しく生きる、こつなのです。
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